そけいヘルニア(脱腸)は手術してしまえば大抵は治ってしまうのですが、時々再発してしまう方もいらっしゃいます。例えば小児期にヘルニアの手術をした方、1990年以前のメッシュを使わない手術をしていた頃にヘルニア手術をされた方は、縫い縮めたところが時間の経過とともにもろくなって壊れ、再発してしまう場合があります。またその他、特に女性に多くみられる内そけいヘルニアや大腿ヘルニアは、構造的にメッシュを上手に敷くことが難しい場合が多いです。必ずしも平らな所にメッシュを敷くわけではないので、でこぼこしたところに敷いてメッシュがずれてしまったり、結果的にメッシュの展開が不十分になってしまうことがあります。そけいヘルニア手術に全般的に言えることですが、加齢とともに腹壁がもろくなって再発に至ってしまう場合があります。いずれも一度ヘルニア手術を経験されている方は、当院ではTAPP法による腹腔鏡手術をお勧めしています。TAPP法ですと、腹膜の内側から腹膜の状態を簡単に確認することができ、内側からアプローチしてきれいに治すことができます。一度手術をしたのだけれど、気になっている方のご相談もお受けしております。
この記事を書いたのは…
2002年山梨医科大学卒業。2008年長野市民病院でTEP法をみて衝撃を受ける。以来、鼠径ヘルニアの理想的な治療はTEP法だと確信して手技の研鑽を積む。2017年8月の開院から全ての手術を執刀。「初診から術後経過まで、執刀した外科医が責任を持って診るべし」が信条。好きな言葉は『創意工夫』