前回の大型モニターの導入の話は、いかがでしたか?
「そんなに簡単にテレビと腹腔鏡システムが繋がるのか」と、疑問に思った方もいるかもしれません。
実は、テレビのHDMI端子に繋げるために、業務用のコンバーターを使用しています。
配線は、天井を回していますので、ケーブルは長いものが必要になります。
このコンバーターと長いケーブルの選択が、純正品以外のモニターの導入のポイントになってきますので、一つ一つ確認していきましょう。
現在、使用している VISERA 4K UHD のカタログスペック(上の写真)は、
解像度4K(4096x2160)、フレームレート59.94fps、ビット深度10bit 4:2:2、色域BT.2020、輝度SDRです。
このスペックをしっかりとカバーできる変換器が必要になります。
特に、解像度が4Kで、かつフレームレート59.94fpsとビット深度10bit 4:2:2をクリアできる製品は限られてしまうため、業務用の変換器を使用します。
この変換器がしっかり対応していないと、画像が映らなかったり、映像が正確に変換できなくなる可能性がでてきます。
VISERA 4K UHD からの4K信号の出力端子は、3G-SDI x 4で出力されます。
3G-SDIケーブルとは、フルハイビジョン(1920x1080)の映像を送ることができるケーブルです。
フルハイビジョンの4倍の解像度の4Kの映像を送るには、画面を4分割して、4本の3G-SDIケーブルで出力することになります。
つまり、この 3G-SDI x4 を HDMIに変換するコンバーターが必要になるのです。
2021年7月にモニターと同時に導入したのが、 AJA Hi5-4K-Plus でした。
この変換器は、4K解像度はもちろんのこと、フレームレート、ビット深度、色域、さらにHDRの輝度にまで対応しております。
遅延なく、HDMIに変換された画像は、肉眼上での画像の劣化や変化を認めず、無事に大画面に映し出されました。
しかし、ここで一つ問題が・・・。
実は、テストでは2m程度の短いHDMIケーブルだったのです。なるべく配線は天井を回すようにしているため、壁掛けモニターから天井を回して、さらに本体プロセッサー部分までは、少なく見ても10m近いケーブルが必要になります。しかしながら、通常のHDMIケーブルは、映像が劣化するおそれがあるため、5mまでのものがほとんどになります。
そこで導入したのが、8Kまで対応可能な、光ファイバー製のHDMIケーブルでした。
光ファイバー製のため、入力と出力が規定された一方向性のケーブルで、かつ光信号に変換するために、光ケーブル自体にUSBで給電する必要性がありました。USBで給電すると、問題なく映像が映し出されました。
この光ケーブルなのですが、2021年7月の時点では、日本での取り扱いが少なかったため、アメリカのamazon.comで取り寄せました。
現在は、日本のamazon.co.jpでも取り扱いがあるようです。
こうして無事にサブモニターを導入できたのが、2021年7月になります。
現在、2年ほど経過し、何の問題もなく映像が映し出されています。
が、しかし・・・
新たな課題が突き付けられます。
2023年7月にOlympusの新機種 VISERA ELITE 3 のデモを行いましたが、その時に、新たな課題が浮き彫りになりました。(下の写真)
新機種の導入を試みると、それに合わせたセットアップが必要になるものですね。なかなか一筋縄ではいきません。
その課題を克服するべく、先週の金曜日の10/20から1週間、VISERA ELITE 3 のデモ器をお借りし、2度目のデモを行っています。課題が克服できなければ、この新機種の導入はありえません。
この新たな課題への取り組みは、次の機会で、お話しします。
この記事を書いたのは…
2002年山梨医科大学卒業。2008年長野市民病院でTEP法をみて衝撃を受ける。以来、鼠径ヘルニアの理想的な治療はTEP法だと確信して手技の研鑽を積む。2017年8月の開院から全ての手術を執刀。「初診から術後経過まで、執刀した外科医が責任を持って診るべし」が信条。好きな言葉は『創意工夫』