この度、当院は6周年を迎えました。無事に6周年を迎えることができたのは偏に私に手術を託してくださった患者様、また信頼して多くの患者様をご紹介いただいた地域医療機関のお陰です。ありがとうございます。2017年8月の開院から2023年7月末まで、全身麻酔の手術が2,909件(587件、直近1年間)になりました。鼠径ヘルニア手術が2,886件(587件)、うち腹腔鏡下鼠径ヘルニア手術2,863件(584件)、開腹での鼠径ヘルニア手術23件(3件) 、その他23件(0件)でした。全件、私が執刀させていただきました。初診から手術、術後の診察まで責任をもってすべて診たいという思いで開院しました。初診で拝見するのは、飛び出ているヘルニアの部分だけではありません。日常はどのように過ごされているのか、どの程度腹圧がかかっているのか、服薬の有無、手術当日の交通手段やご家族の状況まで拝見しています。私にとって、初診の時に伺うお話や手術前のご説明は、ベストな手術のための欠かすことのできない大切な一部分です。自分一人でできる手術の数は限りがあるのですが、体力が続く間は、すべての手術と初診から術後の診察まで、やらせていただきます。
最近になってようやく、web開催ではないリアルの学会が開かれるようになり、機器展示のコーナーで新たな器械に触れる機会が戻ってきました。今のマイブームは、ベストなヘルニア手術のためのベストな機器類を探し出すことです。今回は、腹腔内を膨らませたときの圧をコントロールする器械、組織を焼いたときなどに出る煙を吸気してくれる器械を購入しました。大きな病院では見かけることもあるのですが、当院のような日帰りクリニックでのヘルニア手術には、オーバースペックだと言われてしまいそうです。ただ想像以上に視界をクリアに保ってくれ、快適な手術環境を作ってくれるので思い切って導入しました。使い心地はまた別途ご報告させていただこうと思います。
たかがヘルニア、されどヘルニア。なんでもできる外科医を目指していた10年前からは考えられないような、ひたすらヘルニアの手術を繰り返す毎日を過ごしています。気が付くとライトの下でおヘソを切り、お腹の中にカメラを入れている毎日です。毎日同じヘルニア手術を繰り返していますが、ひとりひとり顔の造りが違うように、ヘルニアもまた千差万別で同じ手術は一つとしてありません。痛みの出ない、再発しない最適な場所の剥離を見極めることをまずは大切にしています。昨日より今日、今日より明日、より良い手術を提供することが私に手術を託してくださったすべての方々への恩返しと思っています。引き続き、経験・技術ともに信頼厚い麻酔専門医の先生と、常に患者様を第一に考えてくれるきめ細やかでフレンドリーなスタッフで、ベストなヘルニア手術を提供し続けたいと思っております。当院での手術を決めてくださった患者様とご家族の皆様、ありがとうございました。また、多くのご紹介をいただきました医療機関に心より御礼を申し上げます。これからもご期待にお応えすべく、ヘルニア手術の技術を磨いてまいります。ベストな装備で患者様をお待ちしています。どうか今後もご支援賜りますよう心よりお願い申し上げます。
この記事を書いたのは…
2002年山梨医科大学卒業。2008年長野市民病院でTEP法をみて衝撃を受ける。以来、鼠径ヘルニアの理想的な治療はTEP法だと確信して手技の研鑽を積む。2017年8月の開院から全ての手術を執刀。「初診から術後経過まで、執刀した外科医が責任を持って診るべし」が信条。好きな言葉は『創意工夫』