今年も残りわずかとなりましたが、皆様いかがお過ごしでしょうか。おかげさまで、当院では2024年に547件の全身麻酔手術をいたしました。今年もすべて私が執刀いたしました。開院より7年半、診察、手術、術後の経過を全て執刀医がみるということが、当院の最大の特徴です。開院以来の全身麻酔手術が3,656件、うち鼠径ヘルニア手術が3,630件(腹腔鏡3,606件、開腹24件)となりました。2024年の全身麻酔手術547件のうち、鼠径ヘルニア手術が545件(片側458件、両側87件)でした。544件が腹腔鏡による鼠径ヘルニア手術で、TEP540件、TAPP3件、LPEC1件でした。巨大な腸管非還納の鼠径へルニアで腹腔鏡でスタートしたものの鼠径部切開法に移行したものが1件、鼠径ヘルニア手術以外では、陰嚢水腫切除1件、試験開腹(腹腔鏡下観察)1件でした。
今年も多くの医療機関より多数の患者様をご紹介いただきました。ありがとうございました。地元の横浜市以外からも、川崎市、町田市、相模原市、大和市、座間市、横須賀市、藤沢市、鎌倉市、秦野市、小田原市、綾瀬市、海老名市、厚木市、平塚市、大井町、松田町、世田谷区、八王子市、日野市、埼玉県狭山市、山梨県笛吹市、宮崎県都城市より手術のためにご来院いただきました。たくさんの患者様にご来院いただき、ありがとうございました。
今年は、使用している設備を刷新しました。4月に最新の4K腹腔鏡カメラ、10月に脳波計を装備した麻酔器、12月にはホームページリニューアルを行いました。stryker 1788は2024年1月に発売したモデルで4Kカメラ自体の基本性能が向上しています。特に術野に赤が増えてくると画面が暗くなり、ノイズが増えて画面が乱れやすいのですが、HDR機能がよく効いていて暗くなってもメリハリのついた見やすい画像を映しだしてくれます。
麻酔器には、脳波計が付いているため、麻酔の深さが客観的に数字で判断することができます。過不足のない適量の麻酔薬の投与ができるのです。換気モードも多彩に選べるようになったため、症例に応じたより適切な全身麻酔が可能になり、より安全な日帰り手術ができるようになりました。
ホームページの引越しにあたり、 クリニックの写真を撮り直すことから始めたのですが、写真を撮ることの難しさを痛感しました。なかなか思ったような画が出せず、カメラのイメージセンサーの大きさだったり、レンズの問題だったり、フラッシュが足りなかったりなど、カメラの世界の奥深さを垣間見ることができました。このカメラの基本に触れたことで、実は今使っている腹腔鏡カメラに通ずることがあり、手術でのセットアップに多いに役立ちました。 一見関係のないことでも、突き詰めていくと、違う角度から物事が見えることがあり、それまで気づかなかったようなことが、もっと良くなることが分かりました。
最近は、普段の生活をしている中でも、こういったちょっとしたことの中に、もっと手術が良くなるヒントが隠れていないか模索しています。鉗子で引っ張る角度とか、鉗子でつまむ力加減など、小さなことでも、ちょっとした工夫がよりよい手術に繋がったときは、本当に嬉しいです。
最後になりましたが、私に手術を任せてくださった患者様とご家族に心より御礼を申し上げます。またご協力いただいた多くの方々に、この場を借りて御礼申し上げます。来年も皆様の信頼に応えられるよう尽力してまいりますので、何卒よろしくお願い申し上げます。どうぞよいお年をお迎えください。
この記事を書いたのは…
2002年山梨医科大学卒業。2008年長野市民病院でTEP法をみて衝撃を受ける。以来、鼠径ヘルニアの理想的な治療はTEP法だと確信して手技の研鑽を積む。2017年8月の開院から全ての手術を執刀。「初診から術後経過まで、執刀した外科医が責任を持って診るべし」が信条。好きな言葉は『創意工夫』