この度、お陰様で当院は8周年を迎えました。手術を託してくださった患者様、また信頼して多くの患者様をご紹介いただいた地域医療機関に心より感謝申し上げます。2017年8月の開院から2024年7月末まで、全身麻酔の手術が4,010件(578件、直近1年間)になりました。鼠径ヘルニア手術が3,984件(577件)、うち腹腔鏡下鼠径ヘルニア手術3,960件(576件)、開腹での鼠径ヘルニア手術24件(1件) 、その他26件(1件)でした。開院以来、院長である私が全件執刀することを大切にしています。8年間、私が毎日ヘルニアの手術を続けることによって得た蓄積を最大限患者様に還元することは当院の最も大切なポリシーです。
あっという間に開院から8年が経ち、腹腔鏡での鼠径へルニア手術もあともう少しで4,000件というところまで来ました。一件、一件、術前のCT画像が実際の手術時のイメージと一致するかどうかを確認し、手術が終わったらビデオの振り返る、これはずっと続けている大事な日課です。昨日よりも今日、そして今日よりも明日、より良いヘルニアの手術を追求するために、毎日少しでも質を高めるために続けている習慣、ライフワークです。
昨年の10月に麻酔器を新しいものに替えました。更新時期が近い事がわかっていたため、時間をかけて新しい機種を比べることができました。麻酔器の動向を調べる良い機会になりました。新しい呼吸器は、設定が多彩で、特に圧でコントロールしつつも換気量を担保するPCV-VGモードが重宝しています。BMIが30を超えるような肥満度が高い症例でも安全な呼吸管理ができるようになりました。こういった症例では、麻酔器だけでなく、高性能気腹装置のAirSealも役立っています。これからもどんなケースでも広く対応できるように努めていきたいと思います。我々は毎日繰り返している手術ですが、全身麻酔手術が初めての患者様も多くいらっしゃいます。全ての患者様に安心して手術を受けていただけるよう、万全の準備で手術することを大切にしています。 いつものチームで、いつもの手順で、いつもの道具で全員が手術に集中できる状態で患者様をお迎えすることが、安心して手術を受けていただくために最も大切にしていることです。
また、こちらも昨年4月に導入した『Stryker 1788』ですが、期待以上の活躍をしてくれています。高精細な4K画像と軽量化されたカメラヘッドは、画質を損ねることなくカメラヘッドが小型軽量化されているので、とにかく取り回しが楽です。実際、カメラを保持するカメラホルダーの負担も軽減できています。ガス式のカメラホルダーに腹腔鏡カメラを持たせているのですが、カメラヘッドが重いとホルダー可動域部分の摩耗が激しく、メンテナンスの周期が早まります。『Stryker 1788』を導入してからは、カメラホルダーの摩耗が減ってメンテナンスの間隔が伸びているのが実感できています。Stryker導入に当たって様々なメーカーのカメラを試させていただいてから、改めて腹腔鏡カメラの仕組みや構造を学んでいます。腹腔鏡カメラは外科医の目なので動向は常に気になっています。腹腔鏡手術のためのカメラに求めることは、一言でいえば画質です。画質は、高解像度と明るさに分けて考えているのですが、最近のアクションカメラなどの流行を見るとイメージセンサーを大型化して小型ボディに乗っけることで、絵がきれいで明るい画面を実現しているように思えます。小さいカメラに大型のイメージセンサーを落とし込む技術を腹腔鏡カメラにも導入してほしいですね。Strykerのカメラも小型イメージセンサーを小型ボディに搭載して使いやすいのでそのメリットは享受していますし、満足しているのですが、この小型ボディに少しでも大きなイメージセンサーを搭載できないか、と思ってしまいます。光学機器メーカーの方に問い合わせたら、個人の予算では開発費がかかりすぎて、オーダーメイドの腹腔鏡カメラなんて作れないと言われてしまいました。仕方ないですね。次世代の腹腔鏡カメラの発売を楽しみに待つことにしました。
これからも少しでも良い手術を提供できるように日々精進してまいります。当院での手術を決めてくださった患者様とご家族の皆様、また、多くのご紹介をいただきました医療機関に心より御礼を申し上げます。毎日ヘルニア手術をやらせていただいていることを大変ありがたく思っています。地域医療の厚みに只々感謝致します。これからもご期待にお応えすべく、ヘルニア手術の技術を磨いてまいります。どうか今後もご支援賜りますようお願い申し上げます。