今年も残りわずかとなりましたが、皆様いかがお過ごしでしょうか。おかげさまで、当院では2023年に529件の全身麻酔手術をいたしました。今年もすべて私が執刀いたしました。開院より6年半、診察、手術、術後の経過を全て執刀医がみるのが外科医の責務であるというのが、当院のぶれない方針です。開院以来の全身麻酔手術が3,109件、うち鼠径ヘルニア手術が3,085件(腹腔鏡3,062件、開腹23件)となりました。2023年の全身麻酔手術529件のうち、鼠径ヘルニア手術が528件(片側460件、両側68件)でした。528件のすべてが腹腔鏡による鼠径ヘルニア手術で、TEP516件、TAPP3件、LPEC9件でした。鼠径ヘルニア手術以外では、腹壁瘢痕ヘルニア手術1件でした。手術件数一覧
今年も多くの医療機関より多数の患者様をご紹介いただきました。地域医療を支えていただいているすべての方々に心より感謝したします。ありがとうございました。地元の横浜市以外からも、川崎市、町田市、相模原市、大和市、海老名市、座間市、綾瀬市、世田谷区、藤沢市、鎌倉市、厚木市、平塚市、秦野市、逗子市、伊勢原市、小田原市、南足柄市、大磯町、真鶴町、稲城市、調布市、国分寺市、小金井市、八王子市、新宿区、荒川区、埼玉県さいたま市、狭山市、山梨県南都留郡鳴沢村、千葉県いすみ市、茨城県つくば市、宮崎県宮崎市より手術のためにご来院いただきました。たくさんの患者様にご来院いただき、ありがとうございました。
コロナが収束にむかい、医療情勢も随分と変化しました。2020年から2022年は、発熱患者さんとの接触を避けるため、当院のような専門クリニックで手術を希望される方が多かったのですが、2023年5月から新型コロナウイルス感染症が5類感染症に変更され、入院を希望される患者様が入院して病院で手術を受けられるようになりました。その影響もあってか、当院での手術件数は、2021年、2022年に比べて、減少いたしました。
ご来院いただける患者様が少し落ち着いてしまい、寂しくも思っていた折に、ホームページ上の情報が少ないとのご指摘をいただきまして、長らく先延ばしにしていたホームページ上で、そけいヘルニアのことや当院についてのご紹介をさせていただくことにしました。鼠径ヘルニアの腹腔鏡手術、TEP法を究めたくて、このクリニックを立ち上げたのがはじまりだったのですが、手術が増えてきて没頭するあまり、情報発信という大事なことを怠っておりました。
これまでも患者様から腹腔内に入らないTEP法の術式で、日帰りが可能で、術者が必ず決まっていて、手術数の多い施設だから、わざわざご来院いただいたのだとおっしゃっていただくことが多くございましたので、ホームページで、そけいへルニアとはどういう病気か、そけいヘルニアの発症する仕組みから手術の種類とその詳細、とりわけ腹腔内の操作をしないTEP法のメリットや当院で大切にしていることをお伝えしたいと思っています。普段、外来で手術のご説明をさせていただいている内容と齟齬はないと思います。また腹腔鏡手術を可能にしてくれるカメラや鉗子といった大切な道具についてもご紹介したいと思います。クリアな視界を確保し、最適な場所にメッシュを敷くための技術を支えてくれる道具や器械は、日々最適化し、検証を重ねています。腹腔鏡下手術に関わる多くの方々にも面白く読んでいただいているそうで大変うれしいです。これまでもメーカーの方には色々な器械をお借りして知恵を拝借し、検証をさせていただきました。それぞれの器械の最高のパフォーマンスを引き出したいと思います。今年の年末の最終月曜日(休診日)も新しいカメラをお借りしましたのでホームページで近日中にご報告いたします。来年も引き続き色々な器械をお借りしたいと思っていますので、よろしくお願いいたします。
いつの間にか鼠径ヘルニアの日帰り手術クリニックがたくさんできて、そけいヘルニアの日帰り手術がすっかり一般的になったことはとても心強いです。当院が6年前に開院した時には考えられなかったことです。拝見するとそれぞれのクリニックには様々な特徴がありますが、当院では 、腹腔内で操作を行わないTEP法を中心に、術前の診断とご説明、手術が始まってから終わるまで、術後の診察まで私が担当させていただくスタイルを続けたいと思います。当院での手術をご希望いただいた以上、私が責任をもって診させていただきたいと思います。もちろん私が一人ですべてを行っているわけではなく、優秀な麻酔科医、頼もしいスタッフあっての手術ですが、私がすべての手術を執刀し、術前から手術、術後まで私が担当するというのがこだわりです。鼠径ヘルニアの手術が、仕事であり、趣味であり、ライフワークとなっている外科医にしかできないことを続けていきたいと思います。一件でも多くの手術を無事に終わらせたい、昨日よりも今日の手術が上達したと思いたい。その為にできることはすべてやる、という当院のスタイルです。鼠径ヘルニア手術(特にTEP法)を究めるため、合併症の起こさない手術手技を探求し、そのために必要な最新の設備は速やかに導入することが使命です。いい手術があるからこそ、術後の痛みや違和感が少なくなります。数日で痛みが落ち着いて数か月の時が経ってすっかり違和感もなくなってヘルニアで悩んでいたことも忘れてしまってほしい。開院以来ずっと願っていることです。
私に手術を任せてくださった患者様とご家族に心より御礼を申し上げます。またご協力いただいた多くの方々に、この場を借りて御礼申し上げます。来年も皆様の信頼に応えられるよう尽力してまいりますので、何卒よろしくお願い申し上げます。どうぞよいお年をお迎えください。
この記事を書いたのは…
2002年山梨医科大学卒業。2008年長野市民病院でTEP法をみて衝撃を受ける。以来、鼠径ヘルニアの理想的な治療はTEP法だと確信して手技の研鑽を積む。2017年8月の開院から全ての手術を執刀。「初診から術後経過まで、執刀した外科医が責任を持って診るべし」が信条。好きな言葉は『創意工夫』