今年も残りわずかとなりました。皆様いかがお過ごしでしょうか。おかげさまで、当院では2025年に601件の全身麻酔手術をいたしました。今年もすべて私が執刀いたしました。開院より8年半、診察、手術、術後の経過を全て執刀医がみるということが、当院の最大の特徴です。もちろん全身麻酔に関しては、麻酔専門医の先生を招聘して、全身麻酔管理を行ってもらっています。開院以来の全身麻酔手術が4,257件、うち鼠径ヘルニア手術が4.230件(腹腔鏡4,206件、開腹24件)となりました。2025年の全身麻酔手術601件のうち、鼠径ヘルニア手術が600件(片側508件、両側92件)でした。600件全てが腹腔鏡による鼠径ヘルニア手術で、TEP587件、TAPP11件、LPEC2件でした。鼠径ヘルニア手術以外では、試験開腹(腹腔鏡下観察)1件でした。
今年も多くの医療機関より多数の患者様をご紹介いただきました。ありがとうございました。地元の横浜市青葉区・川崎市宮前区はもちろんのこと、横浜市全18区、川崎市全7区、町田市、相模原市、大和市、厚木市、横須賀市、座間市、藤沢市、小田原市、秦野市、茅ヶ崎市、海老名市、綾瀬市、平塚市、逗子市、南足柄市、伊勢原市、葉山町、世田谷区、八王子市、大田区、府中市、狛江市、渋谷区、杉並区、江戸川区、埼玉県狭山市、山梨県山中湖村、静岡県伊東市、千葉県習志野市、広島県江田島市、秋田県秋田市、北海道北斗市より手術のためにご来院いただきました。たくさんの患者様にご来院いただき、ありがとうございました。

今年は8月中旬に、開院以来、4,000件を達成しました。また、2022年以来、年間の手術件数が600件の大台に達しました。当院では開院から前例の手術を私が担当しております。一人の術者が、TEP法という一つの術式で、4,000件もの手術を任せていただけたことは、貴重な経験をさせていただいたと思います。この貴重な経験を生かして、また、次の手術につなげていくように精進していきたいと思います。
手術するうえで、なぜ鼠径ヘルニアになるのか、解剖学的な原因を踏まえています。胎生期に精巣が鼠径管内を進んで陰嚢に入るとき、どの様に腹膜を引き込んで進んでいるのか、を理解することが非常に重要だと思います。
胎生期に精巣が陰嚢に進むときの腹膜の引き込まれ方を症例ごとに見極めることは、鼠径ヘルニアの治療法、特に腹膜前腔からヘルニア嚢を全剥離するTEP法の真髄だと思っています。腹膜は精索に沿って、立体的に交錯して複雑に引き込まれているので、それに応じた剥離が難しいのですが、ここに4,000件の経験が生きてきています。

最後になりましたが、私に手術を任せてくださった患者様とご家族に心より御礼を申し上げます。またご協力いただいた多くの方々に、この場を借りて御礼申し上げます。来年も皆様の信頼に応えられるよう尽力してまいりますので、何卒よろしくお願い申し上げます。どうぞよいお年をお迎えください。
この記事を書いたのは…
2002年山梨医科大学卒業。2008年長野市民病院でTEP法をみて衝撃を受ける。以来、鼠径ヘルニアの理想的な治療はTEP法だと確信して手技の研鑽を積む。2017年8月の開院から全ての手術を執刀。「初診から術後経過まで、執刀した外科医が責任を持って診るべし」が信条。好きな言葉は『創意工夫』


