費用は性質のちがう二つに分かれます。手術そのものの値段は国が定めた保険点数で決まり、全国どこでも同じ「定額」です。一方、実際に窓口でお支払いいただく額は、負担割合(3割・2割・1割)と所得によってお一人ずつ変わります。当院は、わかりやすく説明するため、この両方をお示しします。
まずは費用の目安
片側で 約36,900円〜108,000円 の幅があります。多くの方は約108,000円より軽くなります。
※ 高い金額をあえて先に示しています。ご請求で驚かれないための表示です。ご自身の実際の負担は、下の「所得区分」の表でご確認いただけます。
※ 70歳以上・一般所得の方は、外来(通院)の上限22,000円が1割・2割いずれの方にも共通で適用されます(令和8年8月〜令和9年7月)。
根拠データ:2026年6月に当院で実際に算定した手術料の平均(片側36例=35,999点、両側8例=38,020点)。1点=10円で計算しています。症例により使用する薬剤の量や種類などが変わるため、金額は目安となります。
手術そのものの費用(片側の内訳)
鼠径ヘルニアの手術は保険診療です。下記の点数は国が全国一律に定めたもので、どの医療機関で受けてもほぼ同じです。片側の標準的な内訳をお示しします。
| 項目 | 点数 | 金額(10割) |
|---|---|---|
| 基本診療(初再診・管理料など) | 95点 | 950円 |
| 腹腔鏡下鼠径ヘルニア手術 | 22,960点 | 229,600円 |
| 超音波凝固切開装置 加算 | 3,000点 | 30,000円 |
| 全身麻酔(120分まで) | 6,500点 | 65,000円 |
| メッシュ(人工補強材) | 1,950点 | 19,500円 |
| 薬剤(持病・体重で変動) | 約1,550点前後 | 約15,500円 |
| 合計(片側の目安) | 約36,000点 | 約360,000円 |
※ 両側の場合は合計 約38,020点=約380,200円(10割)が目安です。
※ メッシュ(人工補強材)は鼠径ヘルニア手術で必ず使用する材料のため、変動しない定額です。持病や体重で変わるのは薬剤の部分です。
※ このほか、初診料+術前検査などが別途かかります(約7,000円)。
ここがポイント:上の「10割」に負担割合(3割・2割・1割)を掛けたものが、いったんの窓口負担です。ただし、それが次の「高額療養費の上限」を超える場合、最初から上限までの支払いで済みます(または、あとから戻ってきます)。
高額療養費で、実際はいくらになるか
高額療養費制度は、1か月(暦月)の自己負担が所得ごとの上限を超えたとき、超えた分が支給される仕組みです。同じ手術でも、所得区分によって実際のお支払いは大きく変わります。当院の手術費をあてはめると、次のようになります(70歳未満・3割負担の方)。
| 区分 | 報酬月額(月収の目安) | 年収の目安 | 片側の負担 | 両側の負担 |
|---|---|---|---|---|
| ア | 81万円以上 | 約1,160万円〜 | 約108,000円 | 約114,000円 |
| イ | 51.5万〜81万円未満 | 約770〜1,160万円 | 約108,000円 | 約114,000円 |
| ウ | 27万〜51.5万円未満 | 約370〜770万円 | 約86,500円 | 約86,700円 |
| エ | 27万円未満 | 約370万円まで | 約61,500円 | 約61,500円 |
| オ | 住民税非課税の方 | 約36,900円 | 約36,900円 | |
※ 令和8年8月〜令和9年7月の上限額です。
※ 「報酬月額」は、通勤手当や残業代なども含む、税引き前の月収です。会社員の方は毎年4〜6月の平均で決まり、9月から反映されます。
※ 区分ア・イの方は上限(ア=270,300円+α、イ=179,100円+α)に届かないため、窓口負担がそのまま実際の負担になります。区分ウの上限は「85,800円+(総医療費−286,000円)×1%」です。
つまり:3割負担の方の実際のお支払いは、所得により 約36,900円〜108,000円(片側) の幅があります。「手術費=◯◯円」と一律に言えないのはこのためで、区分ごとにお示ししています。
70歳以上の方(1割・2割負担)
70歳以上・一般所得の方は、外来(通院)の上限がはたらき、当院の日帰り手術では 月あたり約22,000円(令和8年8月〜令和9年7月)が目安です。この上限は1割・2割どちらの方にも共通です。現役並み所得の方は、70歳未満の区分ア〜ウと同じ上限が適用されます。また所得によっては、上限が月当たり22,000円を下回る場合がありますので、正確な額は受診時にご案内します。
「区分」はどう決まるのか
会社員などの方(健康保険・厚生年金)
区分のもとになるのは、毎年 4〜6月の給与(報酬月額)の平均です。この平均で区分が決まり、その年の 9月から、保険料にも高額療養費の区分にも反映されます。上の表の「報酬月額」の欄が、そのまま区分の境目になります。
※ 賞与(ボーナス)の扱い:年3回まで支給の賞与は、4〜6月の平均には含めず、支給のつど別枠で計算します。年4回以上支給される場合は「報酬」とみなされ、4〜6月の平均に含まれます。
※ 正式な区分は「標準報酬月額」(報酬月額を等級で区切った額)で判定されます。上表は境目がわかりやすいよう、報酬月額で表示しています。
自営業・年金生活の方(国民健康保険・後期高齢者医療)
区分のもとは前年の所得(確定申告・住民税で確定した額)です。ここで、2つの時期が別々に動く点にご注意ください。
- 保険料そのものは、その年の4月からの年度で新しい所得に切り替わります(通知は6月頃)。
- 高額療養費の区分は、その年の8月から切り替わります。
※ 国保では、区分は年収ではなく所得で判定します(上表の年収は目安です)。
※ 前年に収入が大きく下がった方は、4〜7月は前々年の所得で判定されるため、区分の引き下げが8月まで反映されないことがあります。手術の時期で上限が変わる場合があるので、心当たりのある方は受診時にお申し出ください。
お支払いの前に知っておいていただきたいこと
① 月をまたぐと負担が増えることがあります。高額療養費は暦月(1日〜末日)単位で計算します。検査と手術が別の月に分かれると、それぞれの月で上限が判定され、合計の負担が増えることがあります。日程に余裕がある方はご相談ください。
② ご自身の上限額は、その場で確定できます。金額を推測なさる必要はありません。次のいずれかで確定します。
- マイナ保険証を窓口で提示し、限度額情報の提供に同意する(事前申請は不要です)。
- 加入先の保険者に 限度額適用認定証 を申請し、窓口で提示する。
よくあるご質問(Q&A)
手術の費用は結局いくらですか?
片側・3割負担の方で、高額療養費を使う前は約108,000円が目安です。ただし所得区分により実際は約36,900〜108,000円と幅があり、多くの方は上限より軽くなります。上の「高額療養費で、実際はいくらになるか」の表でご確認いただけます。
高額療養費は自分で手続きが必要ですか?
マイナ保険証を窓口で提示して限度額情報の提供に同意するか、事前に「限度額適用認定証」をご用意いただくと、窓口でのお支払いを最初から上限額までに抑えられます。ご用意がない場合は、いったん通常どおりお支払いいただき、後日ご加入の保険者に申請すると差額が戻ります。
手術前の検査や初診の費用は別ですか?
はい。手術費とは別に、初診・再診料や術前検査などがかかります(初診+術前検査で約7,000円)。
支払いにクレジットカードは使えますか?
お支払いは、現金とクレジットカードがご利用いただけます。電子マネーには対応しておりません。ご利用いただけるクレジットカードは、VISA・Mastercard・JACCS・JCB・American Express・Diners Club・Discover です。
民間の医療保険の手術給付金は受け取れますか?診断書は書いてもらえますか?
日帰りでも、腹腔鏡下鼠径ヘルニア手術は多くの医療保険で手術給付金の対象になります。給付の有無・金額はご加入の保険の約款によりますので、事前にご確認ください。生命保険会社所定の診断書も当院で作成いたします(診断書作成料3,300円)。
「月をまたぐと損」と聞きましたが本当ですか?
高額療養費は暦月(1日〜末日)単位で上限を判定します。検査と手術が別の月に分かれると、それぞれの月で上限が適用され、合計のご負担が増えることがあります。日程に余裕のある方は、同じ月に収まるようご相談ください。
確定申告の医療費控除は使えますか?
1年間のご家族全体の医療費が一定額を超えれば使えます。ただし、高額療養費や民間保険の給付金で戻った分は差し引いて計算します。
【制度について】高額療養費の上限額は令和8年8月に引き上げられました。さらに令和9年8月には所得区分が細かく分かれ、上限額も一部見直される予定です。本ページは令和8年8月〜令和9年7月の金額にもとづきます。なお、直近12か月に3回以上上限に達した場合は、4回目から上限がさらに下がります(多数回該当)。
【最終更新:2026年7月26日】
表示額はいずれも目安です。正確な金額は診療内容によって変わりますので、ご不明な点は受診時に窓口・医事担当までお気軽にお尋ねください。

