診察にこられた患者様に必ずといっていいほど聞かれます。なぜ太ももの付け根にこんな膨らみができたのだろう、なんで脱腸になってしまったのだろう、何がいけなかったのだろうと戸惑われるのは当然ですよね。そけいヘルニアは何かをしたからというよりも、胎児の時に内臓が形成される過程で、男性は精巣が体の外にぶら下がるようになるために通った道筋があるということ、女性もそれに類似した管があるというお話をさせていただいています。そして大人になってから、咳をしたり、重いものを持ったり、40歳を過ぎて筋力が弱ってきたなぁと思ったころに胎児の時に出来た穴が拡がり、腸が出てきます。人間に生まれてきた以上、避けられない構造上の弱点がありますので、一定の割合でそけいヘルニアになります。日本では年間に約15万人の方が、新たにそけいヘルニアになると言われています。
この記事を書いたのは…
2002年山梨医科大学卒業。2008年長野市民病院でTEP法をみて衝撃を受ける。以来、鼠径ヘルニアの理想的な治療はTEP法だと確信して手技の研鑽を積む。2017年8月の開院から全ての手術を執刀。「初診から術後経過まで、執刀した外科医が責任を持って診るべし」が信条。好きな言葉は『創意工夫』