この度、お陰様で当院は開院9周年を迎えることができました。手術を託してくださった患者様、また信頼して多くの患者様をご紹介いただいた地域医療機関に、心より感謝申し上げます。
2017年8月の開院から2026年7月末まで、全身麻酔の手術が4,625件(615件、直近1年間)になりました。鼠径ヘルニア手術が4,596件(612件)、うち腹腔鏡下鼠径ヘルニア手術4,572件(612件)、開腹での鼠径ヘルニア手術24件(0件)、その他29件(3件)でした。
開院以来、院長である私が全件執刀することを大切にしてまいりました。9年間、私が毎日ヘルニアの手術を続けることによって得た蓄積を最大限患者様に還元することは、当院の最も大切なポリシーです。
一件、一件、術前のCT画像が実際の手術時のイメージと一致するかどうかを確認し、手術が終わればビデオを振り返って確認する。これは開院以来ずっと続けている大切な日課です。昨日よりも今日、そして今日よりも明日、より良いヘルニアの手術を追求するために、毎日少しでも質を高める。これが私のライフワークです。

昨年のこのブログで、私は「腹腔鏡での鼠径ヘルニア手術も、あともう少しで4,000件」と書きました。あれから1年、お陰様でその4,000件の大台を越え、腹腔鏡下鼠径ヘルニア手術は4,526件になりました。開腹の24件を含めると、開院からの鼠径ヘルニア手術は累計4,550件です。数字を追いかけているわけではありませんが、一件一件を丁寧に積み重ねてきた結果がこうして形になっているのだと思うと、感慨深いものがあります。
そして今年、改めて実感したことがあります。以前はとりわけ慎重な準備を要した症例、たとえば前立腺の手術を受けられた後の鼠径ヘルニアや、女性のNuck管水腫(ヌック管水腫)に対する腹腔鏡手術も、症例を重ねる中で手技が定型化し、通常の1日3件の手術日でも落ち着いて対応できるようになりました。前立腺術後は骨盤内に癒着があって剥離に難渋しやすく、Nuck管水腫は鼠径ヘルニアとは異なる解剖の理解が求められる、いずれも一件一件が学びの多い手術です。それでも、毎日ヘルニアの手術を続けて蓄積してきたからこそ、こうした症例も特別扱いすることなく、いつもの手順の延長として臨めるようになったのだと思います。積み重ねを患者様に還元するという当院のポリシーが、少しずつ形になってきていることを感じています。
鼠径ヘルニアの手術を多く行っていると、前立腺癌術後の方に鼠径ヘルニアに多く発生しているのに気づきます。実は、前立腺癌の手術後には1割の方が鼠径ヘルニアを発症するといわれ、発生率の高いのです。その理由について、当院でのデータを参考に迫ってみたいと思います。 そもそも前立腺は何をしている...
昨年12月の内視鏡外科学会で、『Nuck管水腫(ヌックかんすいしゅ)』のセッションの司会を担当しました。2年前にも『女性の鼠径ヘルニア』のセッションで担当したテーマですが、今回は特にNuck管水腫の切除に関する演題5題を担当することになり、改めてこの疾患について深く考える機会になりました。...
これからも少しでも良い手術を提供できるように、日々精進してまいります。当院での手術を決めてくださった患者様とご家族の皆様、また、多くのご紹介をいただきました医療機関に、心より御礼を申し上げます。毎日ヘルニアの手術をやらせていただいていることを、大変ありがたく思っております。地域医療の厚みに只々感謝いたします。これからもご期待にお応えすべく、ヘルニア手術の技術を磨いてまいります。どうか今後もご支援賜りますよう、お願い申し上げます。
この記事を書いたのは…
< 日本外科学会専門医、日本消化器外科学会専門医・指導医 >
2002年山梨医科大学卒業。2008年長野市民病院でTEP法をみて衝撃を受ける。以来、鼠径ヘルニアの理想的な治療はTEP法だと確信して手技の研鑽を積む。2017年8月の開院から全ての手術を執刀。「初診から術後経過まで、執刀した外科医が責任を持って診るべし」が信条。好きな言葉は『創意工夫』


